右翼と左翼

右翼と左翼 (幻冬舎新書)

右翼と左翼 (幻冬舎新書)

よく耳にする「右翼、左翼」って言葉。なんとなくみんな使ってるけど、きっちり説明できる人ってほとんどいないんじゃないだろうか。時代によってどのような姿勢を指すのか変わるし、左=共産主義、とか言われても、共産主義なんて俺らにとっては昔話。そんなややこしい概念の「右翼、左翼」を、新書一冊まるまる、歴史を遡りながらじっくり解説したのが本書。読むにつれ徐々に、「右翼、左翼」に対する思い込みや誤解がほぐされていく。

フランス革命まで遡り、ヘーゲルマルクスの「自由」の概念。米ソ冷戦から最近の日本まで。ダイナミックで、みんな生きるか死ぬかの「右翼、左翼」を巡る歴史。最近日本が「右傾」してきたと言われているけど、歴史の必死さに比べると現代日本ってノンキなんだなぁと改めて思った(致命的なのかも)。

また、この本を読むために必要な歴史の基礎知識が不足していることを痛感した。特に中学以来やってない世界史全般と、やった記憶すら無い戦後日本史。このあたり補充しないといけないなぁ。

少し難しいけど良書です。

ヒューマン2.0 web新時代の働き方(かもしれない)

ヒューマン2.0―web新時代の働き方(かもしれない) (朝日新書)

ヒューマン2.0―web新時代の働き方(かもしれない) (朝日新書)


「インターネットの進化に伴う経営形態の変化で、日本でもフリーランスの需要が増す。そんなシリコンバレーフリーランスな生き方、あなたもどうでしょうか?」と、書いてあるわけやけど、「まぁ、そんなことは分かったこと」というかんじで特に新鮮では無かった。

本の構成が微妙で、最初は「シリコンバレーの労働形態の分析」といった社会学的な内容から始まるのに、なぜか途中からいきなり「そんな環境で生きるための心持」というふうな自己啓発本的な内容にシフトする。そのシフトチェンジがあまりうまくできてないので、読んでいて違和感を感じた。「何も考えずに書きたいこと書きまくった」というかんじ。

あえてこの本のいいところをあげると、シリコンバレーの雰囲気とかノリがしっかり伝わってきたところ。筆者も、タイトルの(かもしれない)で分かる通り、良くも悪くもすごくノリの軽い人。あまり物事を深く考える人タイプの人じゃないと思うから、そんなに勉強にはならなかったけど、話はおもしろいし、読みやすい。

けど、シリコンバレーについてなら『ウェブ進化論』の著者、梅田望夫氏の『シリコンバレー精神』の方がずっと勉強になる。

結局、あんまり読む価値ないのかも(笑)

朝日新書は創刊したてみたいやけど、そんなノリの軽い人が、あまり考えずに、「売れればいいや」ってかんじのスタンスで本を出版している可能性があるので注意した方がいいかも。紙質もよく無いんですよ、これが。700円は高い!

ウェブ進化論−本当の大変化はこれから始まる

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)

きっかけ


台湾旅行前に「もし暇な時間があったら読もう」と思っていた一冊。関空へ行く途中の電車で読み始めて、「台湾はいいからこれを読みたい」と思うくらい刺激的だった。これを機にインターネットへの興味が一気に加速した。


感想1 「総表現社会」について


「そういやクラスにあんなおもしろいやつがいたなぁ」という人が、ブログというツールを手にすることによって意見を発信する機会を得る。今まで一部の限られた人(作家、新聞記者)のみによって行われていた表現という行為を、多くの人が手にすることとなる。そんな人たちがまともなことを発信することによって、社会は変わるかもしれない。

もしかしたら、自分が世の中を少しでも動かす力になれるかもしれないと思うとすごくワクワクした。


感想2 「Google」について


世界の天才頭脳を集めてトンデモないスピードで進化を続けるGoogle。そして、今やウェブの世界を支配しようとしている。本書はその技術やビジョンについて分かりやすく解説しているが、はっきり言って「そんな集団を誰が負かせるんだ」、と思った。

そんなすごいビジョンを聞かされると、世の中で「起業熱」が加熱しているけど、誰も彼も「起業、起業」と言っていていいのか疑問に思えてくる。もちろんGoogleは化け物企業なわけやけど。

Googleが世の中のルールを変えるかもしれない。今ある権威が崩壊して、新たな権威が生まれる。ルールが変わってもアナウンスされることはないだろうから、新しいルールについていくために勉強をし続けないといけないなと思った。